前回のパリの地下鉄に続いて、今度はベルリンの地下鉄。
ベルリンはパリに比べると滞在日数も少なく、まわった駅も数えるほどしかないので、単なる旅のスケッチの域をでないのだけれど、パリとあまりにも対照的なデザインに感銘を受けたので写真でご紹介してみます。飛行機でちょっと飛んだだけでこれほどアプローチが変わるなんて、やっぱりヨーロッパは面白い。
まず最初に、ベルリンに着いて最初に降り立った駅から。特に有名な駅ではないけれど、初心者から見たらもう十分に「ドイツっぽい!」と思ったのでパチリ。
椅子もパリのように貝の形をしていたりカラフルだったりはしておらず、ソリッドで機能的なデザイン。駅名の一部であるAを強調した壁面もクール。男の人はパリのロマンティックな地下鉄よりも、こっちのほうが好みなんじゃないだろうか。
こんなふうにほとんど装飾がない駅も多いが、殺風景というよりは削ぎ落した、という表現が似合うかっこよさ。ゴミ箱まで硬派でなんか男らしい。
地下鉄車両もカクカクしていかにも実用的。「かわいい!」とか言ったら怒られそうな、真面目で働き者な印象。
ちょっと遊び心を表現している駅では、コミックのようなイラストを飾ってみたり。しかし、ここでも描かれるのはごつい男の人で、笑ってすらいない。綺麗な女の人がにっこり微笑む絵とかはニーズないのかしらん。
楳図かずお的なおどろおどろしい壁画が飾られててちょっと怖い駅もあった。こういうアプローチは、きっとパリにはないと思う……。
広告のグラフィックデザインまで重ため。ああ、今のところ、ベルリンの地下鉄ではかわいいものは見つかっておりません、隊長!
以前読んだ、『マリー・アントワネットとマリア・テレジア秘密の往復書簡』という本(すごく面白かった)で、母親のマリア・テレジアが軽薄なフランスの文化にかぶれて遊び回る娘に「ドイツ人の真面目さを忘れずに、パリの絵の具に染まらないように」と小言を言い続けていたけれど、ベルリンを歩いていて、なんだかこの母娘のやりとりを思い出してしまった。マリア・テレジアが口を酸っぱくして娘に言い聞かせていたドイツ人の真面目さが、そこかしこに今もなお溢れているように感じたからだ(まぁ、マリア・テレジアの言うドイツってかなり幅広い概念だけども)。
しかし単なる実用一点ばりではなくそれがクールでスタイリッシュになるところがドイツのすごさ。さすが機能美をとことん追求したバウハウスを生んだ国。次回はもっとゆっくりいろんな駅を回って、かっこいい写真をたくさん撮りたいと思った。
<おまけ>
地下鉄の通路に飾ってあったベルリン名物クマの人形。これはほんのちょっとだけかわいい……かなぁ。
<関連リンク>
・パリの地下鉄フォトギャラリー
・SLやまぐちで乙女鉄道の旅
・ヴェルナークレムケによる黒猫カーター