乙女チップス
カワイイもの、古いものを集めた乙女派ウェブマガジン
旅する気分で訪れたいトラベラーズファクトリー

中目黒の路地裏のそのまた路地を入ったところ、懐かしい昭和の雰囲気を色濃く残す場所にトラベラーズファクトリーは佇んでいる。ここは、ステーショナリーブランド・ミドリの『トラベラーズノート』のフラッグシップストアで、2011年10月22日にオープンしたばかり。

『トラベラーズノート』は、タイのチェンマイの工房で作られている素朴な牛革素材のカバーが特徴的で、使い込むほどに風合いが増し、さまざまなカスタマイズも楽しめるとあって、特にクリエイターたちから熱い支持を集めている。2006年のリリース以来、これまでに累計17万冊を売り上げたヒット商品でもある。

「お店をオープンするにあたって一番苦労したのは物件探しでした。『トラベラーズノート』は長く使うことで経年変化を楽しんでもらいたいというコンセプトなので、建物自体もきらきらしたものではなくて古くて味わいのあるものが良かった。場所も、大通りよりもちょっと奥まったところにあって、見つけたときに”あっ”と思える、お店に来ること自体がちょっとした旅の体験になるような路地裏を探していたんです。でも、普通の不動産ルートではなかなか条件に合うものがなく、自分たちで歩いて探して、気になるものをネットで調べて、ようやくイメージ通りのものに出会えた。ここはもともと築40年以上の紙加工工場で、偶然弊社の取引先とつながっていたので、オーナーと交渉することができたのです」と、『トラベラーズノート』のプロデューサーである株式会社デザインフィルの飯島淳彦さんはうれしそうに話す。

もと工場とあって、古い日本家屋とは思えない天井の高さで開放感のあるショップスペース。置かれているデスクや素材も建物の歴史に馴染むように、どこか旧式だ。

「内装は、アンティーク”風”ではなくて、アンティークにこだわりました。加工や塗装で古い感じにしたものではなく、本当に使われて来たものを選んでいます。たとえば、床には足場で使っていた木材を使ったり、弊社の流山工場で何十年も使っていたデスクを持ってきたり。現場からは『まだ使ってるんだけど』と文句を言われましたけど(笑)」


デザインフィル流山工場から運んできたデスク

店内は、大きく分けて、『トラベラーズノート』関連商品、「トラベラーズファクトリー」オリジナル商品、世界各国から集めた旅を感じる小物や雑貨に分かれている。

こちらが『トラベラーズノート』、『スパイラルリングノート』、『クラフトエンベロップ』、長く使い込むほど味わいが増す真鍮を使った『ブラス プロダクト』などが並ぶ棚。さまざまなレフィルなど全商品が揃っているところがフラッグシップショップならではだ。

すぐ脇には『トラベラーズノート』にスタンプを押したりカスタマイズできるデスクも用意されている。

続いて今のところここでしか手に入らない「トラベラーズファクトリー」オリジナル商品。上は、『トラベラーズノート』と同じチェンマイの工房の皮を使った小物類。ノートと同じ、ハンドメイドならではのなめされた皮の手触りが味わい深い。

ファクトリーにちなんで工具の形のチャームも。ざらっとした質感のすずはタイで作られたもの。工具以外にも、飛行機やトラベラーズノートそのものの形もある。

インドのオーガニックコットンを使ったオリジナルトートバッグ。デザインは、『トラベラーズノート』ほか店内のすべてのオリジナルグッズを手がけているデザインフィルの橋本美穂さんが担当。

こちらはトラベラーズファクトリーと渋谷にあるシャツブランドAIR ROOM PRODUCTSのコラボ商品。胸のポケットにブラス プロダクトのペンを差せるようになっているところがポイント。

その他、金沢の雑貨店benlly’s & jobのカメラストラップ、盛岡のインテリアショップHolzの柱に取り付ける文庫棚、徳島のアアルトコーヒーや、タイの郵便グッズなどが並んでいる。

タイの郵便局で買って来たという雑貨。かわいい!

まさに、旅するような空間、というコンセプト通りのラインナップ。これだけ世界各地、日本各地からモノをセレクトするとなると、オープン前はかなり買い付けが大変だったのでは?と尋ねると、
「お店をオープンするから集めたものというものは実はないんです。『トラベラーズノート』を発売して5年間、いいなと思うものにたくさん出会ってきて、いつか扱いたい、置きたいと思って来たものの集大成がこのお店」と飯島さん。

たとえば、二階のフリースペースにあるソファは大阪のTRUCK FURNITUREのもの。むらがあったり傷がある皮の表情にすごくこだわって作ってあり、飯島さんがぜひ置きたいと願っていたものだ。

「商品や内装のセレクトに関わったのは実質3人ですが、それぞれの思い入れのあるものを持ち寄っています。外部に委託することなしに、身内の思いだけで形にしたかった。僕がやりたかったのは旅に関する本を置きたいということ。やはりお店のメッセージを一番伝えやすいと思ったので」

Holzの文庫棚に収まる本

店内の本はすべて飯島さんがセレクトしている

もともと、フラッグシップショップを企画したのは、メーカーではなかなか実現できなかった顧客との対話の場を作りたいという思いから。今後は、2階のフリースペースを使って積極的にコミュニケーションを図るためのイベントもやっていきたいと飯島さんは言う。

「まだ検討中ですが、オリジナルの『スパイラルリングノート』を作るイベントを考えています。自分で好きな紙を選んで、弊社の流山工場の職人を呼んで実演してもらい、自分だけのノートを完成させていただけたら」。
うーん、楽しそう!


トラベラーズノートの棚の前の飯島さん

一歩足を踏み入れるだけで旅好き、文具好き、アンティーク好きの心に何かを訴えてくるトラベルファクトリー。その理由は、同じく旅好き、文具好き、アンティーク好きの3人の熱いこだわりが店内に濃密に漂っているからなのだろう。

TRAVELER’S FACTORY.
〒153-0051 東京都目黒区上目黒3-13-10 <map> 12:00-20:00 /火曜定休

※11/12日(土)トラベラーズファクトリーにて自分だけのオリジナルノートを作ることができるイベント「スパイラルリングノートバイキング」が開催されるようです。詳細はこちら

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