乙女チップス
カワイイもの、古いものを集めた乙女派ウェブマガジン
コスト兄弟なんて怖くない?

パリのマレ地区にあるホテル「ブール・ティブール」(Hotel Bourg Tibourg)。

ここはデザインホテルの先駆けであり、ラウンジ系CDにまでなってすっかり日本のお洒落さんたちにも有名になっている「ホテル・コスト」を手がけたコスト兄弟とジャック・ガルシアによるホテル。ギャラリーと雑貨やさんと美術館とゲイで有名なマレ地区にひっそりと佇んでいる、愛らしい小さなホテルだ。

同じデザイナーが手がけているとはいえ、「ブール・ティブール」のほうは「ホテル・コスト」にくらべて宿泊費はぐーっと控えめ。閉所恐怖症の人は絶対乗れなそうなエレベーターや、日本人もびっくりするほど狭い客室など、お値段並みの残念な部分もあるけれど、それを補うだけの迫力あるデザインと雰囲気があり、おすすめのホテルである。

実は私、パリに対して激しい憧れを抱きつつ、小ばかにされて嫌な思いをするのではないか、意外とつまんないのではないか、日本に服もバッグも食文化もがんがん来ているから感激がないのではないか、など、つべこべぶつぶつ渋っていた。そして海外旅行に行きはじめて15年以上経った2006年、やっとパリの地へと降り立ったのであった。

そんなパリ初心者の私の最初の宿がこのHotel Bourg Tibourg。それは正直言って、私の妄想したパリのホテルってこういうことだったでしょうか? と神様に感謝したくなるほど、私の中の憧れのイメージにぴったりなホテルだった。

17世紀のフランス貴族の館が立ち並ぶ美しい一角、石畳の小さな小路を入ると、ひっそりと白い石で出来た歴史的建造物が佇んでいる。一見するとホテルだと気づかないほど景観に調和しているから、用心して上を見上げて歩いていないとホテルだと気づかずに通り過ぎてしまうほどだ。

中に入ると、待ち受けているロビーは、まるで貴族の館に迷い込んだような古風でリッチなインテリアである。

この深い色、色、色。

畳に障子、柱、というシンプルなインテリアの歴史が長いわれわれ日本人は、いわゆる北欧デザイン的な、色数を抑えたすっきりとした空間に弱いはず。このベルばら的過剰な装飾、赤や緑や黄色や紫などあらゆる色が交じり合うカーペットやカーテン、小物、絵や置物があふれるゴシック空間は弱いのではと思っていたのだが、ここは売れっ子インテリアデザイナー、ジャック・ガルシアならではの絶妙なセンスなのか、さまざまな要素がぶつかり合いつつも全体としては調和が取れており、ひどく居心地が良いのだった。

薄暗いロビーのソファに腰を沈めて、遠いパリの昔に迷い込んだような気分を楽しみながら、いつまでも物思いにふけっていたい、そんな空間。

クラシックでありながらモダン、古いようで新しい。こういうセンスは、まねしようとすると絶対に失敗する種類のものなので、いつかは私の家もこんなふうに出来たら…! などと激しくあこがれつつも、あきらめてしばし味わわせていただくにとどめよう。

こうして書くと、もうなんか、とにかくゴージャスなフランス趣味の高値の花、癒し効果の高い「カワイイ」ではなく、ちょっと鋭くてともすれば疲れてしまう「美しい」や「素敵」なだけの空間なのでは? と思いがちだが、実はこのホテルにはほっとするチャームポイントが隠されている。

それが冒頭に紹介した窓枠にも使われているクローバーなのである。

冒頭で紹介した青い窓枠だけでなく、このホテルは、探し回りたくなるほど、インテリアのそこかしこに、こっそりとクローバーが潜んでいる。

たとえば、客室のライト。

三つ葉のクローバーがチャームポイントになっているのだ。

そして、ふと下を見るとスツールには四葉のクローバー。

ドアだって実はクローバーがあしらわれているのだ。

それに気づかないうちは、このように、単に素敵なデザインホテルだとしか思わなかった。んもー、クローバーをあちこちに散らしておくなんて、乙女心をくすぐるではないですか!

このロビーにももちろんクローバーが隠れているので探してみよう。

このHotel Bourg Tibourg、メトロのHotel de Villeから徒歩4~5分、まわりはカフェやラウンジがたくさんあって、ぶらぶら散歩すれば可愛い雑貨屋さんがいっぱいと、ロケーションも最高。ちなみに日本人観光客に大人気のマリアージュフレール本店のカフェは同じ通りを一分くらい歩くとある。

最寄り駅のHotel de Villeのホーム。色使いがパリっぽいと思うのは私の妄想だろうか?

通り沿いには、フランスのチェーンのスーパーマーケットもあり、生活至便。また、なぜかおすし屋さんもたくさんあるので、お米が恋しくなっても大丈夫。

そんな大満足の滞在を終えてチェックアウトし、ふと出口横の植木鉢を見ると……、

見つけた!

※このマーク、もしかしたらお花かもしれないのだが、ネットで調べても情報がなく、見た目から判断して四葉のクローバーとしてしまった。何か情報お持ちの方、教えていただけると助かります。

<Data>

Hotel Bourg Tibourg ホームページ(英語)

TripAdvisorの口コミページ


1 Comment to “コスト兄弟なんて怖くない?”

  1. Perfumes より:

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