観光地としてあまりにも有名な場所は、大概ものすごくツーリスティックで訪れてみるとがっかりするものだ。……というのがここ最近の私の持論だったのだが、ことパリに関して言うと、「ザ・観光地」なスポットほどハズレなしだったと思っている。
運悪く遭遇したアイスランド火山の噴火のせいで飛行機がキャンセルされ、予定外に出来たフリーの1日をやりすごすために、さほど熱い思いもなく訪れたヴェルサイユ宮殿など、「ここをルートから外していた自分が信じられない!」と後になって心底胸をなでおろしたほど感動したし、肖像画を売りつける画家から逃げるのが大変そうなイメージだったモンマルトルも、その雰囲気、眺望、立ち並ぶお店のクォリティ、どれをとっても大満足だった。
そんなモンマルトルの丘で見つけたのが、アクセサリーと雑貨のお店、Par L’odjetである。
一緒にいたパリ在住のAさんがバスの車窓から「あ、あのお店、なんか小可愛い!」と見つけ出し、二人して飛び降りたのがこのお店との出会い。
確かに小可愛い外観。
Par L’odjetは、広告系の仕事をやめたマリアンヌさんが、4年半前にオープンさせた雑貨店。
スカンジナビア系、特にデンマークやオランダの商品が充実している。
「北欧にこだわりがあるわけじゃないんだけど、昔から幾何学的なデザインが好きで、そういうものはやっぱり北欧に多いの。連続した、普遍的なモチーフであれば国にこだわってないので、実はタイや中国、南米のものも意外とあるのよ」と、マリアンヌさん。
トータルコーディネイトをしやすいように、幾何学模様以外では、鮮やかな単色の品も多く揃えているという。こういう目がさめるような印象的な差し色、インテリアに取り入れてみたいけど、難易度高そうで手が出せないでいた。マリアンヌさんのお店で一式揃えれば、あるいはうまくいくかもしれない、とちょっと勇気づけられる。
どの品物も店主の一貫したセンスで選び抜かれているだけでなく、値段もリーズナブルなのもいい。上の写真のかわいい金魚のネックレスは29ユーロ。下のリンゴのものも30ユーロちょっとだった。
どんなタイプのお客様が多いの? と尋ねると、
「コミュニケーションや映画、美術関係などのクリエイティブ系の人がモンマルトルには多く住んでいるので、ご近所だとやっぱりそういうタイプが多いかもしれない。でもおばあさんが買うこともあるし、お母さんが子どものためのものを買いに来たりするわ。モンマルトルにはひとつのスタイルというのはなくて、いろんなものがあるのがモンマルトルなのよ、だから、色々ね。」とマリアンヌさん。
印象的な階段があちこちにあるモンマルトルの丘
雑多な品揃えでありながら一貫したスタイルを提案しているPar L’odjetは、モンマルトルのコンセプトそのものでもあるのだな、とマリアンヌさんのお話を伺って納得。
フランスやベルギーで行われるインテリア系のサロンで買い付けたり、直接作家とやりとりしたりして、「単純に自分の好きなもの」という尺度だけで仕入れを行っているマリアンヌさんのお店は、訪れるたびに商品ががらりと入れ替わっていることもしばしば。
一期一会の一点モノ雑貨を探しに、モンマルトルを訪れたら立ち寄ってみたい場所だ。
快く取材に応じてくれたマリアンヌさん。
<SHOP DATA>
Decoration & Accessoires
Par L’odjet
103, rue Caulaincourt 75018 Paris <map> 01 44 92 09 34
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