「洋館における最大の見せ場は階段である!」と信じて疑わない私。
なので、建物すべてがほぼ洋館というパリにおいての建築の鑑賞ポイントは、おのずと階段に傾いてしまうのであります。
今回は趣向を変えて、私がねちねちと撮りためたパリの階段コレクションをあれこれご紹介。有名・無名の建築から、ホテルやアパートに到るまで。よろしければご笑覧くださいませ。
トップバッターは、「近代建築の5原則」を実現した、ル・コルビュジエの代表作であるサヴォア邸。シャープな直線の連なるモダン空間で、ひときわ目立つ美しい曲線。コルビジェ財団も(おそらく)この階段が最大の見せ場であると思ったのか、おみやげコーナーに置いてあったオリジナルしおりも、この階段の写真で作られていた。
こちらはロダン美術館のらせん階段。1730年ごろに建てられたロココ様式の館の、エレガントで瀟洒な階段。
芸術家つながりでもうひとつ。マレにあるピカソ美術館の階段。1650年代に建てられた建築を1976年に建築家のロラン・シムネが改修。リノベーション建築のお手本にしたい、古さと新しさが見事に調和した美しい建築で、個人的にも大好き。2012年2月まで工事のため閉館中。
続いて、パリいち美しいパッサージュとして有名なギャルリー・ヴィヴィエンヌから2枚。上は、買い物途中の人でも目にすることが出来る、ガラス張りの中に収まったらせん階段。下は、住人の方がドアを開けてくれた隙に撮影させてもらったパッサージュの上にあるアパートメントの階段。パリ随一のパッサージュの名にふさわしいエレガントさ。
植物を思わせる複雑な曲線を描いたこのらせん階段は、パリの超高級ホテルとして名高いプラザ・アテネのもの。アール・ヌーヴォー様式の建築として有名なホテルらしい、芸術品のような階段。
アール・ヌーヴォーの後に流行したアール・デコの時代を代表するホテルの一つが、パリのサンジェルマンにあるホテル・ルテシア。階段だけでなくロビーもカフェも感動的にアール・デコなので、ボン・マルシェに行く時にでもちょっと立ち寄ってみるのがおすすめ。
最後にご紹介するのは、名もない普通のアパートメントで撮影した一枚。じゅうぶんに素敵。
こうやってずらりと並べてみて、やっぱり「洋館における最大の見せ場は階段である!」という信念を強固に固める私なのであった。
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