乙女チップス
カワイイもの、古いものを集めた乙女派ウェブマガジン
パリのアンティーク村で紙モノざんまい

パリにゆっくり滞在する機会があったら、今度こそ行ってみたいと思っていたのが蚤の市。

とはいえ、いきなりレアものもガラクタも何でもありの蚤の市に参戦するのはいささか情報・経験不足の感もあって、まずは目利きによって選ばれた「フィルターごしの」古かわいいモノをお勉強! ……というつもりで足を運んだのが、パリ中心部で30年以上愛され続けるアンティーク村、ヴィラージュ・サンポールである。おしゃれなエリアとして人気のマレ地区の一角にある。

レースに食器、インテリアに錠前まで、さまざまなカテゴリのアンティークショップが連なるこの界隈でも、おそらく日本の雑貨好き女子のカワイイ感性にもっとも響くであろうお店が、「オ・プティ・ボヌール・ラ・シャンス」(Au Petit Bonheur la Chance)だ。1920〜70年代のフランス雑貨を中心に揃え、特に50年代の品揃えを誇るブロカントである。

外観を一見して伝わってくるこの「ぎっしり感」! こういうお店で沈没して日がな一日宝探しというのは人生において至福の時であります。では、さっそく中には入ってみましょう。

入口に入ってすぐに目に飛び込んでくるのが、布、布、布の山! 期待を裏切らない商品量と迫力。クロスステッチをほどこしたリネンや、カラフルなプリント柄などのちょっと昔の布がどっさりと山積みされ、手芸ファンならまずここで撃沈され、しばらくは浮いてこれないこと必至。

布の隣の棚に目を向けると、今度はカフェオレボウル祭りが開催中。ああ、パリのブロカントに来たら買ってみたいと憧れていたアイテム、やはりかわいい……。が、こんなに並んでいても、店主のマリア・ピアさんによると、「カフェオレボウルはいま古いものの値段が上がっちゃって、前に比べると数がぜんぜんないのよ」とのこと。これでも十分に見えるが、なんでもぎっしり集めてしまうタイプであるらしい店主にとっては少なく感じるのだろう。

そしてカフェオレボウルに背を向けて振り返れば、そこにはおもちゃ、食器、紙モノ、文房具などがずらり。どれもこれもカラフルでポップでちょっとノスタルジックで、かわいい!


ダノンの古いヨーグルト瓶のころんとした佇まいに惹かれる。


鉛筆のデザインもお洒落。


定規もこんなにコレクション。象のキャラ付きのものも。

本当に一つ一つきちんと見ようとすると、一体どれくらい時間がかかるのだろう? と途方にくれるほどの商品量。店内は5人も入るとわりといっぱいになってしまうくらいの広さだから、あんまり長居は……と心ではすまなく思っても、ついつい棚を漁りつづけてしまう。

そこで、個人的にテーマを決めて狩猟を始めたのが紙モノ。今回のパリ雑貨屋めぐりではいろいろなお店を見て歩いたけど、アンティークでこれほどの量の紙モノを揃えているのはちょっと珍しいと思ったからだ。

プランタンやボンマルシェといった有名デパートや、パティスリーや薬やさんのちょっと昔の紙袋。少し色褪せ硬くなった紙に載せられたクラシックなフォントやデザインがたまらない。一枚ずつ売っているものもあれば、10枚セット・袋入りといった、「印刷工場に残っていたのかしら?」と思うほどきちんと保存されていたものもある。子どもの頃、包装紙のセロテープを器用に取り外し、きちんとたたんで保存する女の子ってクラスにいっぱいいたけど、その行為のすばらしさが今になってわかる。私も昔の包装紙や紙をもっと取っておけば良かった………。

包装紙はバリバリ破いてゴミ箱へ、という粗野な子どもだった自分史を塗り替えるかのように、以下の紙袋を購入。どれも1950年代のもので、ひとつ300円程度。


窓がついている袋もあり。


プランタンデパートの昔の紙袋にはパリの名所。お散歩中のワンコは今もパリの名物。

そして、ノートなどの紙モノ文房具もぎっしり。

古い塗り絵も発見。どこかの子どもが途中まで塗ってやめた状態で売られているのもご愛嬌。

マリアさんに、他店に比べ豊富に見える紙モノについて「これは偏愛しているジャンル?」と尋ねてみると、「とくにひとつにはこだわってないの。お店に来てくれるお客様も、全体の雰囲気が好きで来てくれる人が多いわ」とのこと。

映画のデコレーター(大道具)、アクセサリーデザイナーを経て現在に至るマリアさんの独特のセンスでフランス中からかき集められた雑多なモノは、確かにひとつの世界観を作っている。商品が天井までぎっしり積まれた「セレクトショップ」らしからぬ風貌ながらも、しっかりセレクトショップな「オ・プティ・ボヌール・ラ・シャンス」なのだ。

<Shop Data>
Au Petit Bonheur la Chance

Village St Paul – 13, rue St Paul 75004, Paris 【地図
Tel:01 42 74 36 38

<関連リンク>
本記事と同じ2010年春に取材したパリのお店
大人可愛いモニーク・リヨネさんの刺繍の世界 
アンティーク香水瓶の専門店、ベル・ドゥ・ジュール

1 Comment to “パリのアンティーク村で紙モノざんまい”

  1. [...] This post was mentioned on Twitter by MIWA MIYASAKA, 乙女チップス. 乙女チップス said: サイト更新しました。マレにある人気のブロカントの話題。かわいいカフェオレボウルや紙モノなど、画像だけ [...]